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管理薬剤師は責任を問われる可能性あり【医師の麻薬の無免許施用】

医師が麻薬施用者免許を持たずに麻薬を使っちゃった。管理薬剤師は責任を問われる?

この記事では、こんな疑問にお答えします。

薬剤師師さんなら知っての通り、医師免許を持っているだけでは、麻薬を処方することはできません。

麻薬を使うためには、「麻薬施用者免許」が必要なんです。

麻薬は免許を持たずに使うと、「無免許施用」となり、刑事事件になることもあります。

「でもそれは医師の問題でしょ」って思ったあたな。

医師が無免許で麻薬を使うことによって、薬剤師の責任が問われる可能性があるので注意が必要です。

詳しく解説します。

麻薬施用者免許の問題

薬剤師さんなら知っている通り、医師であっても資格がないと、患者さんに麻薬を使うことはできません。

麻薬を使える資格が「麻薬施用者免許」です。

この免許がややこしいのは、

  • 都道府県ごとで取得が必要
  • 麻薬を使う病院を特定して届け出なくてはならない
  • 有効期間がある

からです。

都道府県ごとで免許が必要

麻薬施用者免許は「都道府県知事免許」です。

つまり、東京都で麻薬施用者免許を持っていても、神奈川県の病院では麻薬を使えないんです。

医師自身も勘違いしてる人が多く、自分が都内で麻薬施用者免許を持っているから大丈夫と思い、バイト先の他県の病院で麻薬を使ったりします。

これは、麻薬の無免許施用になってしまいます。

 

病院ごとで麻薬施用者免許が必要

同じ県内の複数の病院で麻薬を使うためには、「病院ごと」で届け出が必要です。

都内のA病院の常勤医師が、麻薬施用者免許を申請した場合、

「麻薬営業所 A病院」

と書かれた麻薬施用者免許証が交付されます。

これで、A病院で麻薬を使えるわけです。

では、この医師が都内のB病院で麻薬を使えるか?

答えは「NO」です。

B病院でも麻薬を使いたい場合は、「B病院でも麻薬を使いたい」という届け出が必要です。

具体的には「麻薬施用者免許記載事項変更届」です。

この届け出を出せば、

「従として診療に従事する麻薬診療施設 B病院」

と書かれた、新しい麻薬施用者免許が交付されます。

これで、B病院でも麻薬を使えるようになるんです。

因みに、他県の病院で麻薬を使いたい場合は、新たに麻薬施用者を取得する必要があります。

麻薬施用者免許の有効期間

麻薬施用者免許は一度とれば、ずっと使えるものではありません。

有効期間があります。

だから、引き継ぎ麻薬を使うためには、免許を更新する必要があります。

麻薬施用者免許の有効期間は、「免許を受けた日から翌年の12月31日まで」です。

つまり、更新を繰り返している医師なら、「有効期間は2年間」です。

免許取得のタイミングは医師によってバラバラだと思うので、麻薬施用者が複数名いる病院では、毎年、誰かの免許更新が必要になってきます。

 

免許の更新で問題なのが、医師が更新手続きを病院の事務に丸投げしていることです。

つまり、事務員が更新手続きを忘れた場合、当然免許の更新はされないのですが、医師は免許が更新されていると思って麻薬を使ってしまう。

こんな問題がよく起きているんです。

薬剤師も責任を問われる可能性あり

麻薬の無免許施用って医師の問題でしょ?

薬剤師は関係ないでしょ。

そう思うのも当然ですよね。

ですが、免許を持ってない医師も、麻薬を患者さんに使う場合は、「処方箋」を作成します。

そうです。

麻薬処方箋をみて、麻薬を調剤するのは「薬剤師」なんです。

麻薬処方箋の記載事項には、「麻薬施用者免許の番号」という欄があります。

免許を持っていない先生の場合、この免許番号が空欄か適当な数字が書かれているはずです。

薬剤師は、「麻薬処方箋の免許番号の確認をせずに、麻薬を調剤した」ということになってしまいます。

だから、薬剤師も責任を問われることがあるんです。

また、医師が使える麻薬は「病院内で管理薬剤師が管理する麻薬だけ」です。

つまり、管理薬剤師は、「免許を持っていない医師に、自分が管理する麻薬を使わせていた」となり、麻薬の管理の責任を問われることもあります。

 

だから、注意が必要なんです。

管理薬剤師の注意ポイント

  • 他の病院から移ってきた先生が麻薬を使いたいと言っている
  • 病棟で1人の先生しか免許を持っていなくて、麻薬は全てその先生の処方
  • 事務員が免許の先生の麻薬施用者免許の更新を忘れた

上のような場合、注意が必要です。

まず、他の病院から移ってきた先生が、「麻薬免許を持っているから麻薬を使うことができる」と言っている場合、先生の免許への認識不足があります。

説明したとおり、「従の施設」での免許申請が必要です。

次に、病棟で1人の先生だけが施用者免許を持っていて、麻薬を処方している場合です。

その先生が100%処方していれば、問題ありません。

しかし、麻薬を使う場合、急な場合も多くあります。

そんな時、免許を持っている先生がいないから、他の先生が、その先生の名前で処方箋を作成して、麻薬を患者さんに使っている。

これは、非常にまずいです。

無免許施用の刑事事件に発展する可能性が高く、さらには「病院ぐるみだ」なんてことになると目も当てられません。

なので、麻薬を使う病棟の医師は、全員、免許を取ってもらう方がいいと思います。

最後の事務員が免許申請を忘れることは、たまにあることです。

先生は免許が更新されていると思って麻薬を使っていたけど、実は切れていた…。

この場合は、事務員と連絡を取り合えば防げることなので、事務員に確認するといいですね。

麻薬を無免許で使ったらどうなる?

麻薬を無免許で患者さんに使った場合、その医師は、法律上は、コカインやMDMAを使ったことと同列になってしまいます。

ケースバイケースですが、悪質な場合は、麻薬取締官などから、取り調べを受けて、「書類送致」となることもあります。

また、薬剤師さんも取調べを受けたりする可能性があります。

麻薬施用者問題(まとめ)

麻薬の無免許施用の問題は、医師の問題だけではありません。

無免許の先生が処方した麻薬を調剤するのは薬剤師だからです。

ですが、麻薬施用者免許のしくみがわかっていれば、防ぐことができる事故です。

薬剤師さんも問題意識をもてば、事故はなくなると思いますので、医師の問題だと思わず、勉強してみて下さい。

 



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