映画「日本で一番悪い奴ら」は、北海道警察の警察官、諸星(綾野剛)が、拳銃を摘発するために、覚醒剤を密売して、その金で拳銃を手に入れて、摘発するというストーリーです。
この映画は、実話を映画化したものです。
そんな「日本で一番悪い奴ら」の中で、いろいろ上手くいかなくなった諸星(綾野剛)が、ついに、自分でも薬物を使ってしまうシーンがあります。
リアルな描写とそんな使い方はしないかなーという部分がありましたので、元マトリである私が解説していきます。
諸星(綾野剛)の薬物使用シーン
諸星は、覚醒剤を密売しても、自分で使うことだけはしていませんでした。
それが、仕事がいろいろうまくいかなくなり、とうとう自分でも使ってしまうんです。
その場面は、薬物を見つけた綾野剛が、手下に手伝わせて、注射器で注射するという場面です。
薬物の種類は?
諸星は、薬物の密売をしていて、このとき使った薬物も、外国から密輸された薬物の一部です。
この薬物は何か?
映画の中では「シャブ」と呼ばれている白い粉です。
「シャブ」とは覚醒剤のことです。
日本で、1番乱用されている薬物が覚醒剤です。
覚醒剤は、「シャブ」、「アイス」「スピード」「エス」なんて呼ばれています。
つまり、諸星が使った薬物は「覚醒剤」です。
薬物の使用方法
映画の中での覚醒剤使用方法は「注射」でした。
諸星は手下に覚醒剤を注射器の中に入れさせ、注射させていました。
このシーンでそんな方法で覚醒剤を注射器に入れる?と思ったんです。
それは、「スプーンの上に覚醒剤をのせ、ライターの火で下からあぶり、溶けた覚醒剤を注射器で吸う」という場面です。
この場面がおかしい点は、覚醒剤を火で炙ってしまうと、白い煙が出てきて、「気化」してしまうんです。
また、溶けた覚醒剤は、熱するのをやめて温度が下がると、固体に戻ってしまいます。
それなのに、映画では、溶けた覚醒剤を注射器に入れ、注射してるんです。
このシーンは正直??です。
注射をするなら、ふつう、注射器の中に覚醒剤を入れ、水を吸い、注射器を振るなどして、溶かしてから注射します。
火であぶるなら、「あぶり」と言って、覚醒剤を火で熱して、出てきた煙を吸い込む方法で、覚醒剤使います。
注射の場所
諸星は、最初、腕をベルトで縛りました。
これは、腕を縛ることで血液を止め、血管を浮き上がらせるためです。
病院での採血と同じですね。
ただ「でねーな」なんて言って、今度は足をベルトで縛り始めます。
そして、手下に、足に注射してもらうんです。
実はこのシーンも?な場面です。
普通は、足の血管よりも腕の血管のほうが出やすいですし、針が刺しやすいです。
だから、病院での採血も、腕の血管からです。
覚醒剤使用者の場合、確かに、足の血管から注射する人もいます。
でも、それは、腕の血管に針が刺さらないからなんです。
覚醒剤中毒者のように、何回も何回も繰り返し、腕の血管に注射していると、血管がタコのように固くなって、針が刺さらなくなってしまうんです。
腕に針が刺さらないので、仕方なく、足の血管や首の血管に注射するようになるんです。
つまり、腕に刺さらない→足の順番なんです。
諸星は、覚醒剤を初めて使うので、腕の血管でも注射できたはずなんです。
注射シーン
諸星の注射シーンは、注射器にスポットが当てられています。
最初に、注射器の中に血が入ってきます。
そして、その後、覚醒剤を注射しています。
これは、「リアルなシーン」だと思います。
なぜ、注射器の中に血が入ってくるか説明します。(血管に針を刺しただけでは、血は入りません)
覚醒剤は血管に注射します。
だから、針を刺した時に、ちゃんと針が血管に入ったか確認する必要があります。
そのため、針を血管に刺したら、注射器の棒を、押すのではなく少し「引く」んです。
ちゃんと針が血管に刺さっていると、棒を引くことによって、血液が逆流してきて、注射器の中に血が入るんです。
つまり、「注射器の中に血が入ってきた」は、「ちゃんと血管に針が刺さった」ということなんです。
覚醒剤乱用者も、このように血管に針が刺さったことを確認しますので、このシーンはリアルです。
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諸星(綾野剛)の薬物使用シーンまとめ
映画の中で、諸星(綾野剛)の覚醒剤使用シーンは注射器内に血液が入るリアルな点もありますが、スプーンの上で覚醒剤を火であぶり、溶けた覚醒剤を注射するという、あまり現実的でないシーンもありました。
ただ、最初、自分は覚醒剤を使わないのはもちろんのこと、恋人が覚醒剤を使ったと分かると警察に自主させていた諸星ですが…。
1度、覚醒剤を使ってしまうと、やめることができず、覚醒剤の件で逮捕されてしまいます。
1度使ったら、刑事でもやめられない怖さ。
この覚醒剤の怖さはリアルな描写です。