調剤済み廃棄届?施用残?廃棄届?
どれ?
この記事では、こんな疑問にお答えします。
麻薬の廃棄って、いろいろ種類が多くてややこしいです。
しかも、手続きを間違うと「事故届」が必要になったりします。
麻薬の廃棄手続きを間違うと薬剤師の責任を問われかねません。
この記事では、麻薬の廃棄手続きについて、病院への立入検査の経験から注意点を含めて解説します。
根拠としているのは、厚生労働省が出している麻薬管理マニュアルです。
麻薬の廃棄方法
麻薬の廃棄方法は、大きく
- 古くなった麻薬(陳旧麻薬)の廃棄
- 調剤済み麻薬の廃棄
- 麻薬注射剤の施用残液(施用残)の廃棄
に分けられます。
順に廃棄方法を解説します。
古くなった麻薬(陳旧麻薬)の廃棄
- 古くなってしまった麻薬
- 変質などで使えなくなってしまった麻薬
- 調剤ミスなどにより使えなくなった麻薬
の廃棄方法です。
これらの麻薬の特徴は、「まだ調剤されていない」ということです。
古くなった麻薬を廃棄するには、事前に「麻薬廃棄届」を提出する必要があります。
提出先は保健所や県庁の薬務課です。
廃棄届けによる廃棄は、麻薬取締員などの県職員の立ち会いが必要です。
病院の職員の立ち会いで廃棄しては絶対にダメです。
廃棄届けを出すと、県職員が病院や薬局に来てくれるので、県職員の指示に従って、麻薬を廃棄します。
廃棄をしたら、麻薬帳簿に、廃棄したことを記載します。
県の職員が立会人として、署名してくれます。
記載例は次の通りです。
古くなった麻薬の廃棄のポイントは、廃棄する前に「麻薬廃棄届」を出すことです。
調剤済み麻薬の廃棄
調剤剤済み麻薬とは、「麻薬処方箋により調剤された麻薬」のことです。
- 麻薬錠剤を処方されていた患者さんが亡くなり麻薬が残った
- 外来患者さんが麻薬の処方を受けていたが、亡くなり、遺族が病院や薬局に届けにきた
- 処方された麻薬を持参して新たに患者さんが入院してきたが、その麻薬は使わなくなった
このような場合は、「調剤済み麻薬」として廃棄します。
調剤済み麻薬は、麻薬管理者が、「病院や薬局の他の職員」の立会の下、廃棄することができます。
陳旧麻薬と違い、県職員の立会は必要ありません。
また、調剤済み麻薬を廃棄した場合は、30日以内に、「調剤済麻薬廃棄届」により届出が必要です。
これは、事後報告でオッケーです。
廃棄方法は、放流や分解など回収が困難な方法で行って下さい。
調剤済み麻薬を廃棄した場合、帳簿にも記載が必要です。
麻薬帳簿(元帳簿)に記載しても構いませんし、補助簿(廃棄簿)を作ることもできます。
補助簿をつくると、廃棄した麻薬がすぐわかるので、調剤済麻薬廃棄届を出す際に便利です。
記載例は下の通りです。
【麻薬の元帳簿に記載する場合】
立会者については、帳簿に
「署名」又は「記名・押印」
が必要です。
署名とは、「自筆で名前を書く」こと。
記名とは、「名前のゴム印を押したり、印字する」ことです。
なので、立会者が「署名」した場合は印鑑は押す必要はないです(もちろん押して大丈夫)
しかし、ゴム印を押したら、印字した場合は、印鑑が必要になってきます。
記名の場合、印鑑を押していないことがよくあるので注意して下さい。
【補助簿(廃棄簿)に記載する場合】
このように廃棄簿をつくると、調剤材済み麻薬の廃棄届を出す際にも便利です。
麻薬注射剤の施用残液の廃棄
麻薬注射剤の施用残液とは、
- 手術等でアンプルを施用したが残量使用せず余りが出た
- IVH(中心静脈への点滴注射)の中に麻薬注射剤を入れて施用していたが、途中で中止なり、残液が残った
などの場合です。
患者さんに施用していた麻薬注射剤が余った場合ですね。
施用残の場合は、麻薬管理者が病院の他の職員立ち会いで廃棄できます。
放流等で廃棄して下さい。
そして、届出は不要です。
帳簿には、廃棄した麻薬の量(ml)や立会人の署名か記名・押印が必要です。
帳簿の記載例は次の通りです。
廃棄した量(ml)が抜けている場合があるので、きちんと記載して下さいね。
医師の「施用票」と一緒にアンプルが戻ってくる病院は、その施用票にある施用量から残液が分かります。
施用票があれば、医師が作用した量と廃棄した量を合わせると、アンプルが1本分になるので、間違いが少なくなります。
麻薬の廃棄方法(まとめ)
麻薬の廃棄方法は大きく分けて3種あります。
「古くなった麻薬」は、事前に届け出て、県職員立会いの下、廃棄てますり
「調剤済み麻薬」は、麻薬管理者が他の職員立会で廃棄し、30日以内に調剤済み廃棄届を提出。
「麻薬注射剤の施用残液」は、麻薬管理者が他の職員立会で廃棄し、届出は不要です。
麻薬の廃棄はややこしいしいですが、事故が起こると大変なので、きちんと廃棄して下さいね。
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