この記事では、こんな疑問にお答えします。
結論から言うと、「活かせる場面は少ないけど必要」です。
6年間も勉強したのに活かせる場面が少ないなんてと思った薬学生の皆さん、安心して下さい。
活かせる場面もありますし、麻薬取締官として働くうえで、薬学の知識は必要ですので解説します。
麻薬取締官の仕事には法律の知識が必要
麻薬取締官の仕事は、犯人を逮捕して、裁判で適切な刑罰にかけることが目的です。
そこで使うのは、法律の知識なんです。
主に「刑法」や「刑事訴訟法」です。
家宅捜索(ガサ)をするためには、裁判所からの令状が必要で、この令状も刑事訴訟法に基づいて請求します。
犯人の取調べをするにしても、取調べができる根拠も刑事訴訟法にのっています。
このように麻薬取締官にとって法律の知識は必ず必要です。
このように聞くと、薬学生の皆さんは心配になりますよね?
でも、安心して下さい。
採用された後、研修などで勉強しますし、実務を通して知識は身につけられます。
薬学部で学んだ知識の活用
それでは、薬学部の知識はどこで活かせるか、それを解説していきます。
鑑定業務
麻薬取締部の仕事の一つに、鑑定業務があります。
押収した薬物が本物の薬物かどうか鑑定する「鑑定部門」というセクションがあります。
鑑定部門には「鑑定官」がいるのですが、鑑定官は薬剤師資格をもっている麻薬取締官しかなることができません。
この鑑定部門に配属されれば、薬学部で学んだ知識が活かせます。
立入検査
麻薬取締官の仕事は捜査だけではありません。
ガンの痛みを和らげるために、病院では麻薬が使われています。
違法なものではなく「正規流通麻薬」と言われるものです。
そうは言っても麻薬なので、不正使用されると大変です。
だから、病院や薬局では、厳しく管理されています。
麻薬取締官の仕事の一つは、病院や薬局に行き、麻薬が正しく管理されているかを検査することです。
病院では、麻薬の帳簿やカルテなどを見ますので、ここでは、薬学部で学んだ知識が活かせます。
現場試験
「これ、色が青になったからな。覚醒剤な」
こんなやりとりを警察24時などで見たことがあると思います。
犯人を逮捕する時、覚醒剤かどうか判定するのに、呈色反応を利用しています。
覚醒剤であれば、シモン試薬とマルキス試薬を使います。
この現場の試験についても、薬学部で学んだ知識が活かせます。
つまり、「シモン試薬が青になったからと言って覚醒剤とは限らないな」と考えることができるんです。
この辺りも、薬剤師の強みですね。
薬剤師であることの強み
麻薬取締官の仕事では、法律の知識を使うことが多いです。
ですが、麻薬取締官には薬のスペシャリストとして、薬学の知識も必要です。
だから、薬剤師であれば、国家公務員試験を受けなくても、麻薬取締部の採用試験を受けることができるんです。
実務では薬学の知識を活かせる場面は少ないですが、麻薬取締官にとって薬学の知識は必要なんです。