この記事では、こんな疑問にお答えします。
麻薬取締官の捜査の仕事は、
- 情報の入手
- 犯人の内偵
- 捜索、逮捕
- 取調べ、裏付け
です。
今回は「内偵捜査」について、詳しく説明します。
内偵捜査とは
内偵捜査とは「相手に分からないように、ひっそりと捜査する」ということです。
特に薬物事件では、相手にバレないというのがとても重要です。
薬物事件の基本は、薬物を持っているところを捕まえる「所持の現行犯逮捕」です。
まさに薬物を持っているところを捕まえられたら、言い逃れできないからです。
ただ、薬物はとても簡単に証拠をなくすことができてしまいます。
ポイっと捨てればいいだけなので。
この証拠隠滅をされないためにも、「バレない」ことが重要になるんです。
捜査されていることが分かれば、みんな証拠をすてたり、逃げたりしますからね。
張り込み
張り込みは、麻薬取締官の捜査の基本中の基本です。
まずは、犯人がどんな行動をしているかを知ることが大切なので、必ず、張り込みを行います。
密売人であれば、必ず密売をしますので、どこでどんな風に密売するかを確認する必要があるからです。
張り込みにも色々パターンがあるのですが、基本は犯人の家を張り込むことです。
家を出るタイミングがわからなければ、行動も確認できないですからね。
当たり前ですが、犯人の家の前に捜査車両を置いて、張り込むなんてことはしません。
詳しく書けないところもありますが、いずれにしても犯人が家から出てくるのが分かる場所から、ひたすら出てくるのを待ち続けます。
張り込みは忍耐
犯人が会社員であれば、朝の時間帯に張り込めば家から出てきますが、密売人はそうはいきません。
行動が不規則なので、いつ家から出てくるか分かりません。
丸1日、家から出てこない相手もいます。
ひたすら我慢です(笑)
麻薬取締官なら仕事が地味と言われる理由ですね。
しかも、相手が家から出てくる時は一瞬です。
人が玄関から出てくるのなんて、ほんの数秒ですからね。
目を離しているうちに、出てしまったなんてことになれば、大きな時間の無駄になってしまうので、気が抜けないんです。
居眠りなんて論外です。
張り込みは体を動かすことはありませんが、長時間の集中が必要なため、体力を消耗します。
真夏は過酷です。
真冬も過酷です(笑)
だから、忍耐力が重要なんです。
尾行
相手が家から出てきたら、次にやるのは、「追う」ことです。
いわゆる、尾行です。
どこに言って、どんな行動をするかを確認するために尾行をします。
相手の後をついていくだけですが、すぐ後ろをずっと歩いていたら、怪しいですよね。
尾行のポイントも相手にバレないことです。
相手に近づきすぎてもダメだし、離れすぎても見失ってしまうのでダメです。
絶妙な距離感で、さりげなく跡を追うんです。
「どこまでもついて行ってやる」とギラギラした目をしているとバレやすくなるので、その気持ちは心に奥底にしまって、存在感を消して、街に紛れて追います。
徹底的に追う時は、相手が新幹線に乗ろうがついていくので、気がついたらとんでもない場所に来てしまった…、なんてこともあります。
内偵捜査は忍耐の連続
このように麻薬取締官の内偵捜査は、忍耐の連続で、精神的にも肉体的にもハードです。
ハードな割には、非常に地味です。
ですが、内偵をして、密売現場を確認できた時は、達成感があります。
そして、長い内偵捜査の末、犯人を捕まえることができた時には、更なる達成感があります。
地味な張り込みでも、重要な仕事だと分かっているので、麻薬取締官は黙々と内偵をするんです。