どうやったらなれるの?
この記事では、こんな疑問を解決します。
麻薬取締部の鑑定官の主な仕事は、押収した違法薬物や尿の鑑定です。
鑑定官になれるのは、麻薬取締官として採用された後、技官(薬剤師の資格を持つ麻薬取締官)が鑑定の専門研修を受けて鑑定官になることができます。
40歳前後で鑑定官になるパターンが多いです。
つまり、40歳までは麻薬取締官として働き、その後、鑑定官となります。
麻薬取締部では、科捜研のように初めから鑑定専門の採用は行なっていません。
鑑定官の仕事
麻薬取締部鑑定官の仕事は、主に押収した薬物の鑑定です。
細かく解説していきます。
押収した薬物の鑑定
鑑定する薬物は、覚醒剤、大麻、コカインやMDMAなどの麻薬などです。
犯人は、違法な薬物を持っていたから、罰せられる訳ですが、もし、持っていた薬物が違法なものでなかったら大変です(罪になりません)
犯人を逮捕する時は、簡易な試験(色が変わるかどうか)しかしませんので、きちんと鑑定して、本物の覚醒剤かどうか確認するんです。
違法薬物は、結晶のもの、液体のもの、樹脂状のものなど様々なので、形状にあった鑑定を行います。
尿の鑑定
犯人の尿から薬物が検出されるかの鑑定を行います。
覚醒剤や麻薬は、「使う」ことが法律で禁止されているので、使っているかどうかの確認のため、尿の鑑定を行います。
尿の鑑定については、捜査班から急いで鑑定してほしいと言われることがあります(緊急逮捕するためです)ので、捜査班からの依頼で、早朝や深夜に待機することもあります。
DNA鑑定
DNAの鑑定も行います。
薬物の袋に付いているDNAや注射器内に残った血液のDNAを鑑定します。
犯人によっては、尿から覚醒剤の反応が出ているのに、「覚醒剤は使っていない」と言い張る者もいます。
そんな時、一緒に注射器を押収していれば、注射器内の血液のDNAを鑑定して、犯人のもの一致すれば、言い逃れできなくなります。
毛髪鑑定
覚醒剤を使っていると、髪の毛の中に微量の覚醒剤成分が入り込みます。
なので、髪の毛の鑑定を行います。
ただ、日本の裁判では、髪の毛から薬物が検出さたからと言って有罪になることはほとんどないです。
基本は「尿検査」です。
尿から覚醒剤が検出されたことで、覚醒剤の使用の証拠となり有罪になるんです。
では、どんな時に髪の毛の鑑定をするか?
それは、尿から覚醒剤が検出されているのに、「使っていない」と容疑を否認している時です。
髪の毛から覚醒剤成分が検出されれば、つね日頃から覚醒剤を使っていた証明になるので、犯人の「使っていない」という供述を崩す証拠として使うんです。
鑑定官の人数
麻薬取締部は全国に事務所があり、北から、札幌、仙台、東京、横浜、名古屋、大阪、神戸、広島、高松、博多、小倉、那覇に事務所があります。
基本的に、1つの麻薬取締部に1人の鑑定官がいます。
東京、大阪は鑑定物件が多いので、「鑑定課」があり、5人くらい鑑定職員がいます。
つまり、全国の麻薬取締部の鑑定部門の職員は15人前後です。
麻薬取締部の職員は全国で300人弱なので、鑑定を専門にしている職員は小数です。
鑑定官と転勤
鑑定官の勤務地も全国の麻薬取締部のため、全国転勤があります。
各県警の科捜研なら転勤はないと思いますが、こればかりは仕方ないです。
麻薬取締部の鑑定官(まとめ)
麻薬取締部の鑑定官は、薬剤師資格を持った麻薬取締官が経験を積んだ後、専門の研修を受けてなることができます。
現状、鑑定専門の職員採用はしていません。
薬物鑑定は、薬物犯罪の現場ではなくてはならないもので、非常に重要な仕事です。